彼・・・私の天使。
4
朝、五時を過ぎて明るくなってきた。天使を起こさないようにベッドを抜け出して、シャワーを浴びて朝食の準備。六時を過ぎた頃、天使が起きてきた。
「早いのね、おはよう。少しは眠れた?」
「あの状況で、しっかり熟睡出来る男がいたら、お目にかかりたいです」
「ごめんね……」
「嘘ですよ。三時間くらいは眠りましたよ」
「良かったらシャワー浴びて。タオルとハブラシ分かるようにしてあるから」
「顔、洗ってきます」
カフェオレとサンドイッチを作って二人で朝食。モーニングコーヒー?
「朝はいつも、どうしてるの?」
「コンビニとか食べなかったり、いろいろです」
「朝は食べないと元気出ないわよ」
「もう大丈夫ですか?」
「君の腕の中は、癒し効果抜群だから100%回復したわよ」
「良かった。もうちょっとで襲っちゃいそうでしたけど……」
「それでもいいと思ってた」
「昨夜のあなたを襲うような男、人間失格ですよ。あぁ、でもチャンスだったかなぁ……。惜しかったなぁ」
「ありがとう。一緒に居てくれて心強かった。時間、大丈夫?」
「あぁ、もう行きます。一度帰ってから」
「私も支度して出かけなきゃ」
「昨日の事は忘れて、いつもの元気な社長に戻って」
「大丈夫よ。職場には持ち込まない……つもり」
「何か心配だなぁ。もう黙って遠くへ行かないでくださいよ」
「はい。何か昨日から私の方が年下みたいよね」
「まだ歳なんか気にしてるんですか? 関係ないって言ったでしょ」
天使の気持ちは嬉しかったけど、これだけは、年齢差は何年経っても変わらない。二年後、三年後その先があるとしても……。
「遅れちゃうわよ」
「ほんとだ。行きます」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
天使が出かけて私も大慌てで支度。不安な事、嫌な事は忘れて、いつもと同じ私で居よう。そう自分に言い聞かせた。