彼・・・私の天使。

4


 朝、五時を過ぎて明るくなってきた。天使を起こさないようにベッドを抜け出して、シャワーを浴びて朝食の準備。六時を過ぎた頃、天使が起きてきた。

「早いのね、おはよう。少しは眠れた?」

「あの状況で、しっかり熟睡出来る男がいたら、お目にかかりたいです」

「ごめんね……」

「嘘ですよ。三時間くらいは眠りましたよ」

「良かったらシャワー浴びて。タオルとハブラシ分かるようにしてあるから」

「顔、洗ってきます」

 カフェオレとサンドイッチを作って二人で朝食。モーニングコーヒー?

「朝はいつも、どうしてるの?」

「コンビニとか食べなかったり、いろいろです」

「朝は食べないと元気出ないわよ」

「もう大丈夫ですか?」

「君の腕の中は、癒し効果抜群だから100%回復したわよ」

「良かった。もうちょっとで襲っちゃいそうでしたけど……」

「それでもいいと思ってた」

「昨夜のあなたを襲うような男、人間失格ですよ。あぁ、でもチャンスだったかなぁ……。惜しかったなぁ」

「ありがとう。一緒に居てくれて心強かった。時間、大丈夫?」

「あぁ、もう行きます。一度帰ってから」

「私も支度して出かけなきゃ」

「昨日の事は忘れて、いつもの元気な社長に戻って」

「大丈夫よ。職場には持ち込まない……つもり」

「何か心配だなぁ。もう黙って遠くへ行かないでくださいよ」

「はい。何か昨日から私の方が年下みたいよね」

「まだ歳なんか気にしてるんですか? 関係ないって言ったでしょ」

 天使の気持ちは嬉しかったけど、これだけは、年齢差は何年経っても変わらない。二年後、三年後その先があるとしても……。

「遅れちゃうわよ」

「ほんとだ。行きます」

「いってらっしゃい」

「いってきます」

 天使が出かけて私も大慌てで支度。不安な事、嫌な事は忘れて、いつもと同じ私で居よう。そう自分に言い聞かせた。
< 42 / 108 >

この作品をシェア

pagetop