彼・・・私の天使。
3
ランチの時間も無事終了。そして厨房は、ほとんど戦場か? という忙しさのディナーも。
クリスマス・イブは終わった。
お疲れさま。まだ数日間クリスマスムードは続くけれど。もうクタクタで帰宅。ゆっくりお風呂に入って温まってソファーで、まったりしていたら着信音。
「メリー・クリスマス。僕です」
「おかえりなさい。かな?」
「さっき帰って来たばかりです。冬休みなんで塾のバイトも忙しくて」
「そうねぇ、冬休みなのよねぇ」
冬休みもクリスマスも、ずっと仕事が忙しいだけで過ごして来ちゃったのよね。もう何年も……。
「きょう、お店、忙しかったんでしょう?」
「うん。お陰さまでね」
「やっぱりダメだ。今から行きます」
「えっ? ちょっと……。今からって」
携帯が切れた。何言ってるの? もう十二時近いのに。明日も忙しいのよ、私。忙しいのは天使も同じか。しばらくしてチャイムが鳴った。
「来ちゃいました」
「汗? どうしたの? 髪、濡れてる」
「シャワー浴びて乾かしてなかった」
「バカねぇ、風邪ひいたらどうするの? 早く入って」
急いでドライヤーを取って来て天使をソファーに座らせ濡れた髪を乾かす。
「こんなに冷えちゃって……」
「あったかい」
「君が風邪ひいて塾の生徒さんに移したら大変でしょ?」
天使の髪は自然な栗色? コシがあって、でも柔らかで、ふわっと乾いた髪の手触りとシャンプーの香りが心地好かった。
「はい。おしまい」
眠ってる? 疲れてるのね。ドライヤーを片付けて戻ると
「眠っちゃいました。気持ち良かった」
そんなに疲れてるのに来てくれたの?
「今夜、泊めてください。このまま帰ったら本当に風邪ひいちゃいます」
「風邪をひかないためだけなの?」