彼・・・私の天使。


「ずっと会いたかった。二ヶ月も会えなくて……」

「二人とも忙しかったんだから、しょうがないでしょう?」

「それでも会いたかった。僕の隣りで眠ってください」

 思わず笑ってしまった。


 私と彼は、あの日のように一つのベッドで眠った。寒い季節だから、お互いの体温を逃さないように寄り添って。

 彼は私の髪を撫でながら
「愛してる」

 私から天使の唇に唇を重ねた。そして……私たちは結ばれた。天使は私の体を大切な宝物を扱うように優しく愛してくれた……。



 目を覚ますと目の前に天使の笑顔。今まで見た、どの笑顔より優しく、そして男らしく見えた。

「いつから起きてたの?」

「少し前から寝顔見てました」

 天使の唇が寝起きの私の唇にそっと触れて
「やっとツカマエタ」

「昆虫か何かみたいね」

「すごくキレイで……。もう逃がしませんからね」

「羽があるから逃げるかもしれないわよ」

「逃がさないって言ったでしょ」

 私たちは柔らかなシーツの上で、もう一度、愛し合った。お互いの気持ちと、お互いの存在を一つ一つ確かめ合うように……。



「きょうは、劇団サボっちゃいたい」

 二人で毛布に包まって天使の温かな手が私の頬を撫でる。

「私は仕事はサボれないわよ。劇団研究生と取締役社長は違うの」

「ずっとこうしていたい」
 素肌のまま抱きしめられていた。

「だ~め」
 天使の頬にキスして
「朝食の支度しなきゃ」

 濃いめのコーヒーと熱々のピザトースト。二度目のモーニングコーヒー?

「遅刻するわよ」

「は~い」

 天使を送り出して大急ぎで支度。クリスマスの忙しさも、あと数日。

 クリスマス・イブか……。
 毎年、思い出すのかな……。
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