彼・・・私の天使。
4
「ずっと会いたかった。二ヶ月も会えなくて……」
「二人とも忙しかったんだから、しょうがないでしょう?」
「それでも会いたかった。僕の隣りで眠ってください」
思わず笑ってしまった。
私と彼は、あの日のように一つのベッドで眠った。寒い季節だから、お互いの体温を逃さないように寄り添って。
彼は私の髪を撫でながら
「愛してる」
私から天使の唇に唇を重ねた。そして……私たちは結ばれた。天使は私の体を大切な宝物を扱うように優しく愛してくれた……。
目を覚ますと目の前に天使の笑顔。今まで見た、どの笑顔より優しく、そして男らしく見えた。
「いつから起きてたの?」
「少し前から寝顔見てました」
天使の唇が寝起きの私の唇にそっと触れて
「やっとツカマエタ」
「昆虫か何かみたいね」
「すごくキレイで……。もう逃がしませんからね」
「羽があるから逃げるかもしれないわよ」
「逃がさないって言ったでしょ」
私たちは柔らかなシーツの上で、もう一度、愛し合った。お互いの気持ちと、お互いの存在を一つ一つ確かめ合うように……。
「きょうは、劇団サボっちゃいたい」
二人で毛布に包まって天使の温かな手が私の頬を撫でる。
「私は仕事はサボれないわよ。劇団研究生と取締役社長は違うの」
「ずっとこうしていたい」
素肌のまま抱きしめられていた。
「だ~め」
天使の頬にキスして
「朝食の支度しなきゃ」
濃いめのコーヒーと熱々のピザトースト。二度目のモーニングコーヒー?
「遅刻するわよ」
「は~い」
天使を送り出して大急ぎで支度。クリスマスの忙しさも、あと数日。
クリスマス・イブか……。
毎年、思い出すのかな……。