彼・・・私の天使。
2
ソファーで眠っちゃった。ブランケットを掛けて、寝顔に涙? 強がってても辛いんだね。分かり過ぎるくらい分かるけど。
そうね。どうしようもない事だってあるよね。
みんな幸せになりたくて、幸せになるために生きているのに……。どこで間違っちゃうんだろう。どうして幸せになれない人と出会っちゃうんだろう。幸せになれない人を好きになるんだろう……。
「うん? あ~っ! 寝ちゃった。年明けた?」
「まだよ」
「あっ、紅白」
「うん。テレビでもつけてないと新年が来るって気がしないのよ」
「八時になったら起こして。お正月くらい実家に顔出さないと」
「みんな元気?」
「元気よ。甥っ子と姪っ子が、お年玉待ってるし」
「お年玉か。あげる子もいないわ」
「私の代わりに、あげてくれてもいいけど」
「スタッフにボーナス出すだけで手いっぱい」
「そっか。あんたは偉いわ」
「あっ、ねぇ、ベッド使えば?」
「このソファー寝心地いいのよ。知らない?」
「知ってる。家のソファーだから」
カウント・ダウンが始まった。5・4・3・2・1。あけましておめでとうございます。
と同時にメールの着信音。天使から
『謹賀新年! 去年は、あなたに出会えて最高でした! 今年は、もっとたくさん会いたい! 僕の真面目な目標です!』
『あけましておめでとう。先生! 疲れてない? ちょっと心配です。風邪ひかないで頑張ってね』
メール送信。
もし時間が空いたら美味しいお鍋でも食べさせてあげたい。
元旦の朝。
「八時になるわよ」
「う~ん、よく寝た~っ。こんなに寝たの久しぶりだわ」
「お雑煮でも作る?」
「ううん、いい。家に帰ったら、しっかり食べさせられるから。さぁ、お見合い写真と格闘してくるか」
「お見合いするの?」
「する訳ないでしょ。どこから集めて来るのってくらいあるんだから。バツイチとか子持ちとかまであるのよ。勘弁して欲しいわよ」
「心配してるのよ。おばさん」
「ほっといて欲しいわよ。詩織、代わりにしない?」
「しない」
「よね。さぁ行こう。ありがと。また電話するね」