彼・・・私の天使。
3
しばらく彼女の寝顔を見ていた。
すると……目を覚まして
「いつから、そこに居たの?」
「五分くらい前かな?」
「おかえり」
「ただいま。イチゴ買って来たけど食べる?」
「うん」
イチゴを洗いながら
「練乳も買って来れば良かったかなぁ?」
「ううん。そのままがいい」
「美味しいといいけど……」
彼女の前に置く。
「うん。甘い、美味しい、食べてみて」
僕の口にも入れてくれる。
「ほんとだ。イチゴを見ると思い出すんだよね。初めてデートした時のこと」
「へぇ、いつの話?」
「高校一年の時。入学式で一目惚れした可愛い子が居たんだ」
「それで?」
「喫茶店で、彼女はイチゴパフェ、僕はコーヒーゼリーを注文した」
「えっ? イチゴパフェじゃないの?」
「本当は食べたかったんだけど、なんか恥ずかしくて」
「それでコーヒーゼリー? 可愛い」
彼女は笑った。
「その方が男らしいかなって思って。そんなに変わらないのに」
「可愛い初デートの思い出なんだ。素敵ね。さぁ、そろそろ夕食の支度しようか」
「きょうは何?」
「鶏の水炊きにしようかと思うけど」
「いいね。実家でも良く食べてた。名古屋コーチンとか有名だし」
「そうね。手羽先とか美味しいわよね」
「手伝うよ」
キッチンで二人でじゃれ合いながらって……。僕が一方的にだけど。美味しい水炊きで、お腹いっぱい。また二人で後片付け。
僕が先にお風呂に入って髪はちゃんと乾かして、彼女もお風呂。明日から仕事だし昨夜は熱で入れなかったから。
「あぁ、気持ち良かった。これで明日から仕事って感じ」
でも彼女まだ熱も下がったばかりだし早めにベッドに僕も一緒に潜り込む。風呂上りの彼女は、とてもいい匂いで僕の腕の中で眠って、寝顔を見ながら僕も眠った。