彼・・・私の天使。


「それよりそっちは? どうなってるの? ちゃんと会ってるの?」

「ううん。もう半年会ってないかなぁ。あぁ、この前お店に食事には来たけどね」

「半年って……。それで大丈夫なの?」

「電話で話したりメールはしてるわよ」

「あのねぇ。中学生の遠距離恋愛じゃないのよ。そんなことしてたらダメになっちゃうわよ。そうじゃなくても若くて綺麗な子が周りにたくさんいる環境なんだから」

「そうなのよね。でもね、それでダメになるのなら仕方ないのかなって思うの。私の方が確実に先に歳をとるのは、どうしようもないことでしょ? でも彼は、あの仕事を続けていく限り、何歳になっても周りには若くて綺麗な子が居るのよ。五年、十年経って女として見て貰えなくなるくらいなら、今のうちに別れた方がいいのかもしれないって、そんな気もしてるの」

「そう言われると私も同じ気持ちだったから、何も言えないわね」

「あなたはもう昔のことなんだから、今の幸せを大事にしてよね」

「いろいろあるけどね、周りが。でも二人だけで生きてる訳じゃないし」

「分かってもらえるといいわね」

「努力はするけどね。分かってもらえるかどうか」

「でも二人が幸せなら周りも認めてくれるんじゃないかな」

「そうだといいけど」

 結婚するのも大変なのねぇ。妙に納得して帰って来て……。シャワーは明日の朝にしよう。かなり飲んだし着替えてベッドに潜り込んだ。天使はまだ撮影中かななんて考える間もなく眠った。



 朝が来て起きたけど二日酔い? 頭痛がする。飲み過ぎだ。ちょっと反省。シャワーを浴びてシャキッとして、でも食欲ない。ジュース一杯だけで出勤。

 きょうは税理士さんとの打ち合わせが入ってるからお店には出なくて済む。事務所に缶詰め。立ち仕事は無理。経理の女の子と事務の仕事をこなした。お疲れさま。しばらく飲まないと心に決めた。

 マンションに帰ってシャワー。今夜は日本の朝ご飯みたいな食事を作った。ご飯に、お味噌汁、玉子焼き、のり、日本人で良かった。

 早めにベッドに入ってウトウトしてたら……。天使から携帯に電話。

「……はい」

「あれっ? もう眠ってたんですか?」

「うん……。ちょっと具合が……」

「すぐ行きます」

 電話が切れた。
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