彼・・・私の天使。
まったりした休日

1


「食べ終わったら何処行こうかって言いたいけど……」

「無理しなくていいわよ。疲れてるんでしょう? それに次は、いつ休めるか分からない。違う?」

「そうだけど」

「ドラマのロケって何処へ行ってるの?」

「千葉とか言ってたかな」

「そう。でもきょう暑そうよね。大変でしょうね撮影」

「ごめんね。何処にも連れて行ってあげられなくて」

「どうして謝るの? 分かってたことでしょう? それにもう連れて行ってもらったわよ。ドライブもしたし牧場にも行った。ステーキも食べたしフルコースも家の店だけど。それからデパートに買い物にも行った。でしょ? 何年会えなくても待っていようって思ってたから。まだ半年しか経ってないのに会えたし充分だから」

「これから撮影も忙しくなるし、CM撮りもスケジュールに入ってるし」

「何のCM?」

「秋に発売されるビールとチョコレートだったかな」

「へぇ。ちょっと大人のアイドル路線ね」

「僕はアイドルじゃないよ」

「充分、通用すると思うけど」

「また子供扱いして。僕は大人です」

「ムキになるところが子供に見えるけど」
 って言ったら、ぎゅっと抱きしめられて濃厚なキスをされた。
「これでも子供?」

 急に抱き上げられてベッドに放り出された。
「これから僕が大人だって分からせてあげるから」

「もう充分、知ってるけど」

「それもそうだね」

 二人で顔を見合わせて笑った。ベッドで横になったまま、しばらく、ふざけ合っていたら私は眠ってしまった。時間にしたら短時間だけど。目が覚めたら天使の腕の中……。

「お目覚めですか?」

「昨夜、誰かさんに眠らせてもらえなかったから。その誰かさんは熟睡してたけど」

「僕に会えて嬉しくて眠れなかったの?」 

「うん。そうね……」

「そんなに僕のこと好き?」 

「……。うん……」

「起きてる?」 

「…………」

「何だ。眠ってる」
 天使は笑っていた。
「愛してる。ずっと離さないから」
 私は眠ったまま天使にそっとキスされていた。
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