彼・・・私の天使。
天使の企み
1
そして一週間後。
天使からもらったチケットで二度目の観劇。三列目は言うまでもないけれど舞台に近く、お芝居が手に取るように観える。
微妙にセリフの言い回しが変わっていたり別の楽しみもあったりして。きょうは何だか安心して観ていられた。
お芝居の幕が下りた時、隣の席のご夫婦連れらしき方に声を掛けられた。
「あのう、少しお時間戴けませんか?」
「えっ? 私ですか?」
「はい。きょう名古屋から観に来たんですけど、息子からチケットが送られて来て。とてもお世話になっていると聴いております」
「もしかして……」
「藤島と申します」
天使のご両親だった。
劇場の近くの料亭に案内された。落ち着いて話したいからと個室に通された。
「ごめんなさいね。突然」
この方が瞬君のお母さま。お綺麗な方。
「いいえ」
実はまだドキドキしてる。
「びっくりされたでしょう?」
とお父さま。とても優しそうな雰囲気の方。
「何も聴かされていなかったので」
私は本当に驚いていた。
お母さまが
「実は、きょうのチケットが送られて来て瞬から電話があって、連番の後の席に大切に想ってる人が居るから、もしも気に入らなければ声は掛けないで。それでも僕は彼女と一緒に生きて行くから。もし気に入ってくれたら話し掛けて欲しいとあの子から言われてたのよ」
「どんな人が来ているのか、とても心配していたんだが」
「ひと目で気に入りました」