彼・・・私の天使。
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するとチャイムの音。
「舞台終わったよ」
「お疲れさま。すごく良い顔してる」
「そう? いつもだけど」
「もう、自分で言う?」
二人で笑った。
天使が役者として、またひと回り、それ以上成長したと感じていた。
「きょうはドラマの撮影は?」
「撮影はしてるけど、僕は休み」
「明日は?」
「二十一時から撮影だから、それまで一緒に居られるよ。お店、休みでしょう?」
「じゃあ久しぶりに、ゆっくり出来るのね」
「そうだ。お弁当すごく美味しかった。先輩にそうか、いるんだ彼女。で、から揚げ取られた。料理が上手い彼女は最高だぞって誉められたよ」
「その先輩は結婚してるの?」
「うん。初日に愛妻弁当を持って来てた先輩。十五日間毎日、美味しそうなお弁当持って来てたよ」
「素敵な奥様なのね。十五日間か。大変よね」
「作ってくれる? 毎日とは言わないけど」
「そんなにレパートリーあったかな? ねぇ、打ち上げって遅くまで盛り上がるんじゃないの?」
「うん。もうみんなお酒入っちゃってハチャメチャだった。僕は車だからジンジャーエール飲んでたけど」
「じゃあ、抜けて来ちゃったの?」
「愛妻弁当の先輩が帰ってもいいぞ。彼女に会いに行けって。もうみんな酔っ払ってたから、まともな話はないからって」
「そうなんだ。良い先輩なのね」
「うん。一番よく話すかな」