【超短編】壁
もし、あの事件がなくても、中学校からの制服がスカートだったので、嫌でも意識していたかも知れないが、明確な切っ掛けは、彼女の初恋だ。


中学校に上がってからは、(小学校でもなくはなかったが、所詮ごっこ遊び程度だった)恋愛が話題の中心となっていた。


僕も中学校では、気になる子ができたりして、二人で報告し合ったりしたものだ。


そのとき、クラスの男子から、



「あいつと付き合ってるの?」




とか、僕たちの仲の良さに色々と噂が立ったりしたが、僕たちは、それを真っ向否定した。


そんな噂も、僕にとっては切っ掛けの一つだったのかも知れないが、




「友達が男女に友情はないって言ったけど、私たち、ずっと友達だよね?」



と、彼女は言った。


僕も、



「当たり前だ。お前なんて、今更女になんか見られるかよ。」



と、答えたが、その時点で僕の心境はかなり複雑だった。


< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop