【超短編】壁
その時、きっと、今までみたいには戻れないのだろうと思った。
壁は、天まで届くほど、高くなってしまったのだろう。
「寒いから、帰ろうか。」
「そうだね。」
なんともなかった様に、二人は歩き出す。
間に、壁を隔てながらも、一定の距離を保って。
まるでこうなるのが当たり前だったかの様に…
告白による解放感や、フラれた事による喪失感は不思議と湧いて来なかった。
ただなんとなく、すぐ隣にある君の手が、今なら握れそうな気がした。
壁は、天まで届くほど、高くなってしまったのだろう。
「寒いから、帰ろうか。」
「そうだね。」
なんともなかった様に、二人は歩き出す。
間に、壁を隔てながらも、一定の距離を保って。
まるでこうなるのが当たり前だったかの様に…
告白による解放感や、フラれた事による喪失感は不思議と湧いて来なかった。
ただなんとなく、すぐ隣にある君の手が、今なら握れそうな気がした。