【超短編】壁
つらいよ。
ごめんね。
今までは、どんな話も真剣に聞いていたけれど、今は、半分以上聞いたふりをすることしかできない。
そうしなくては、
「そんな奴、やめろよ」
とか、
「俺の方が、おまえの事わかってるよ」
なんて、ダサい事言ってしまいそうだから。
「ねぇ、聞いてる?」
君が、不機嫌そうな、拗ねた様な顔を僕に向ける。
そんな表情も、昔はした事なかったはずだ。
媚びる様な上目遣いの表情なんて、一体いつ覚えたのだろうか?