上司との同居は婚約破棄から

 こんな日に限ってプロジェクト夢日和の会議があった。

 今日は前回のどのようなコンセプトにするのか等を話し合う日だ。

 帰りたくなくなる居心地のいい場所。
 それに異を唱えたせいで悪目立ちしてしまった。

 意見しただけして、何もいいアイディアは浮かんでいない。
 また怒られることが決定してるようなものだった。

 会議は進んでいき、ある人が手を挙げた。
 その人は「今さら?」と、コンセプトの『帰りたくなくなる場所』の件で怪訝な顔をした女性だった。

「帰りたくなくなる場所。
 そのコンセプトは変えずに行きたいです。」

 やっぱり私の意見は不必要だったんじゃない。
 沈んでいく気持ちは次の言葉を聞いて顔を上げることになった。

「同時にその場所を家に持ち帰れるようにすれば、早く帰りたい場所にもなると考えます。」

 資料が配られてそこにはデッサンされたイメージ図。
 居心地の良さそうな休憩場所。
 その近くのお店などが描かれている。

「帰りたくなくなる仕掛けを作り、その仕掛けは近くのお店で買える。
 それを嫌味なく誘導できれば売り上げアップにも繋がりますし、幸せな気持ちでお帰りいただきます。」

 みんな資料を持って各々が近くの人と話している。
 それは概ね賞賛する意見ばかりだった。

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