上司との同居は婚約破棄から
「あぁ。藤花がそう言ってくれるから俺も自分の気持ちを言おうと思った。」
「自分の……気持ち?
待ってください。
どちらかと言えば私は断られた側ですよね?」
「あぁ、まぁ、そうなるか。
旅行先で好きだって言って迫ってくる藤花が可愛いから困ったよ。
でも成り行きでそういう関係になりたくなかった。
どうしてか分かるか?」
優しく諭すように言われても私には正解が分からなくて首を左右に振った。
「お前が大切だからだよ。」
おでこにキスをされてキュンと胸が鳴いた。
「嘘……。だって………。」
「嘘、禁止。
今日は全部本当のことしか言ってない。」
真っ直ぐ見つめられて混じり気のない瞳にドキドキと鼓動が速まるのを感じる。
「ずるいです。
好きな人に見つめられたら、反論できない。」
「煽るなよ。
まだ、大事なことを言ってない。」
「大事な?」
「あぁ。
全てを話せたら言おうと思ってた。」
高宮課長は目と目を合わせて真剣な表情で口を開いた。
「好きだよ。藤花。
俺と結婚を前提に付き合おう。」