上司との同居は婚約破棄から
「だって心の準備ってものが……。」
「この前は今すぐに!って言ってただろうが。」
「結婚って言われると重みが違うんです!」
「遊びの方が良かったのかよ!」
「違っ。だって、いきなり色んなことを言われて、はいそうですかって差し出せません!!」
ハーッと深い溜息をついた高宮課長は頭をかいて離れていく。
慌てて袖をつかむと不機嫌そうな声がした。
「なんだよ。
襲うなって言っといて引き止めるのか?
悪いけど、俺もそこまで大人じゃない。」
何も言い返せなくてつかんでいた袖から手を離した。
気持ちは伝え合えたはずなのに、気まずい雰囲気に逆戻りしてしまった。