上司との同居は婚約破棄から

「同居する上でルールを決めよう。」

「ルール。ですか。」

「あぁ。内田はアホだから俺ん家に住んでること平気で人に話しそう……ってまさかもう誰かに話してないよな?」

「あ、、。」

「おいっ!常識的に分かるだろ。
 常識!!!」

 顔を手で覆って心底呆れているように「ハーッ」と大きな溜息をつかれた。

「あ、の。同期の真美ちゃんと佳乃ちゃんに話してしまいました。
 心配してくれてましたし、その、安心してもらいたくて。」

「あぁ、そうかよ。
 で、他には話してないだろうな?」

「はい。
 お母さんに話そうかと思っ……。」

「おい!正気か??」

 勢いよく立ち上がった高宮課長の瞳が揺れている。
 やっぱり親に話すのはマズイよね。
 初めて見た高宮課長の動揺するような姿に胸が揺さぶられた。

 それがなんの感情なのか上手く表現できないけど。

 私は努めて冷静に訂正した。

「だから話そうと思ったんですけど、さすがに余計心配させるかと思って話してません。」

「あぁ、そう。」

 安堵した溜息を漏らして「他に誰にも言うなよ?」と釘を刺された。


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