上司との同居は婚約破棄から
高宮課長が言うように婚約破棄したことについてはさすがに母へ連絡した。
重い気持ちを押して掛けた電話の先で母も絶句していた。
それはそうだ。
結婚式までは半月に迫っていた。
寒い真冬の2月末に行う予定だった結婚式。
俺らの熱で寒さも溶かしてやろうなんて……どの口が言ったんだか。
極寒の寒さの中で、史上最大に突き落とすことになったくせに。
彼のことを思い出すと胃がキリキリと痛んで、ギュッと唇を固く結んだ。
それでも母は偉大だ。
しばしの絶句の後「親戚にはお母さんが言っておくから心配しないで。嫌になったら地元に帰って来てもいいんだからね」とまで言ってくれた。
どんな励ましの言葉よりも有り難かった。
いざという時の逃げ道を私へ用意してくれたのだから。