上司との同居は婚約破棄から
4.狙い目?
「知らなかった〜。」
「高宮課長、離婚してたんだね。」
「私もビックリしたよ。」
同期の2人と入ったお店はローストビーフ丼が有名なお店。
メニューの写真は山のように盛られた赤ピンクのお肉でご飯が見えない。
女の子ばかりだと気取らないで、行きたいお店に行けるから嬉しい。
注文を済ませた佳乃ちゃんが怪しい目つきをさせた。
「狙い目じゃない。」
「狙い目………。何の。」
きょとんとしていると佳乃ちゃんはあっけらかんと言ってのける。
「フリーな者同士。」
呆気にとられる私をフォローするみたいに真美ちゃんが意見した。
「不謹慎だよ。
まだ、、そんなこと考えられないよね?」
「うん………。」
黙ってしまったら、2人とも心配そうな顔を向けている。
だから私は慌てて手を左右に振った。
「ごめん、ごめん。暗くなっちゃって。
でも本当にもういいの。
当分は色恋沙汰はいいかなって思ってる。」
というよりも一生独り身の方が気が楽だ。
もうあんな思いはしたくない。