上司との同居は婚約破棄から
ぼんやりとそう思った時。
不意に腕が引かれて体が大きく傾くと体は大きく揺らいでよろめいて歩道橋の中ほどにしゃがみ込んだ。
自転車の人が怪訝な顔をして中央にしゃがみ込む私を避けて通り過ぎていく。
私の腕を引いたであろう犯人はへたり込む私に手を差し出すわけでもなく、かといって置き去りにするわけでもなくすぐそばで佇んでいた。
「ヤダな。高宮課長。
飛び降りようだなんて思ってないですよ。」
「あぁ。そうかよ。」
特別優しいわけじゃないはずなのに、高宮課長の声を聞いて後から後から涙がこぼれた。