上司との同居は婚約破棄から

「ち、違うんです。
 兄がいるから男物のパンツくらい平気なんですけど、寝起きでしかも握り締めてたっていうのに驚いたと言うか……。」

 高宮課長が今までどうしてかは分からないけど、私がここに住むようになってからの洗濯は洗濯機を夜中に回して浴室乾燥でお風呂場に干してくれている。

 だから私が寝る前に干してしまうと高宮課長がお風呂に入れないわけで。
 必然的に干すのは高宮課長がやってくれていて、それを私がたたむことを率先してするようにしていた。

「あぁ。帰ってくると綺麗にたたまれてしまってあるから内田がやってくれてるんだと甘えてたが……。
 まさか握り締めて寝られてるとは思いもよらなかった。」

「だからそれは!!」

「それでよく眠れるのなら1枚貸してやってもいいぞ。」

「必要ありません!!!」

 笑みも浮かべずに真面目くさった顔で冗談を言われてもどうしていいのか困るから!

 私の気持ちを知る由もない高宮課長は洗濯物の山を手にして片付けてくれるようだ。
 自分も洗濯物の山の1つを手にして自分の部屋まで運んだ。

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