上司との同居は婚約破棄から
わー!!!
こんなのただの痴女じゃないの!!
見かけよりもたくましい上半身に未だに目がチカチカして、その場にズルズルと座り込んだ。
胸は否が応でも早鐘を打ち、顔を熱くさせる。
もう!本当!!気を抜き過ぎだから!!!
「入ってるなんて知らなかったんです」って弁明したくても再び扉を開けて会話なんて出来ないし、ただただお風呂を終えた高宮課長が出てくるのを待つしかない拷問のような時間を過ごした。
しばらくすると高宮課長が出てきた気配をいち早くキャッチして深々と頭を下げる。
「すみませんでした。醜態の数々。
出来ることなら消えて無くなりたいです。」
「大袈裟な。
俺も鍵を掛けずに悪かった。
まさか覗きの趣味まであったとは。」
「だからうっかりしてたんです!!」
勢いよく顔を上げて抗議すると、……笑って……そんなわけないか。
笑い飛ばしてくれた方がどれだけ助かるか。
「内田は忘れずに鍵を掛けろよ?」
「はい。本当に申し訳ないです。」
もう一度深々と頭を下げてお風呂へ向かった。