上司との同居は婚約破棄から

 お風呂を出ると珍しく高宮課長はリビングのソファに腰掛けていた。
 我が物顔で番組録画まで使わせてもらっていた私はピンと来て高宮課長へ質問を向ける。

「もしかして10時からのドラマが観たくて早く帰ってきたんですか?」

 録画予約している番組まで分かるのはお互い様。
 最初こそ秘密を覗き見ている気がして悪い気がしていたけど、案外趣味が被っていることを知った。

 ドラマにバライティ。
 観たいと思う番組はたいてい録画予約されていた。

「まさか。たまたまだ。」

「でも見るんですよね?」

「まぁ。せっかくだしな。」

 そもそも高宮課長がドラマやバラエティを観ることが意外で報道番組しかみないロボットのような人間だと思っていたなぁと苦笑する。

 私自身も見ているドラマだから高宮課長の座る場所から距離を取って私もソファに腰を下ろした。

< 56 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop