上司との同居は婚約破棄から

 まだ始まる前のCMなのを確認して、何かの着信を告げている携帯をチェックした。

「わぁ。」

 思わず声が漏れて笑みがこぼれた。

 兄から甥っ子の写真が送られてきていて、誕生日にプレゼントした着ぐるみ風の服を着てくれた写真だった。

「高宮課長。見てください。
 私の甥っ子なんですけど、可愛くて……。」

 何気ない行動のつもりだった。
 だからこそ考えなしだって言われちゃうんだけど。

 離れた隣の高宮課長に携帯を見せる為に横を向いて体を寄せた。
 高宮課長も見ようと体を寄せてくれたようで……。

「ね、可愛いですよね?
 ………ッ!!
 す、すみません。馴れ馴れしくて。」

 携帯から顔を上げて、やっと気付いた。
 すぐ近くに顔があって、高宮課長からお風呂上がりのシャンプーのいい匂いがした。

 お互いにパジャマで、もちろんボタンはしめているけど、さきほどの上半身が露わになった姿がチラチラしてしまう。

 かぁーっと顔が熱くなるのを止められなくて、改めて距離を取ると高宮課長から思わぬ言葉を聞くことになった。


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