上司との同居は婚約破棄から
高宮課長side:前後不覚
ものすごく柔らかくて心地よくて気持ちいい。
そんな夢を見て、温もりを手繰り寄せる。
あぁ、温かい。
夢じゃなくて……。ん?夢じゃなくて?
目を開けると辺りは薄明かりが差している。
体を起こすと頭がガンガンしている。
ひどい二日酔いだ。
酒に飲まれるなんて、久しぶりだ。
帰ってからの記憶が………。
そう思って自分の今の状況に目を丸くした。
顔をうずめていたのは柔らかくて白い滑らかな肌。
「おいおい……。ちょっと待ってくれよ。」
思わず声を漏らすとその肌の主が薄眼を開けた。
「寒いです。
お布団引っ張らないでください。」
「あ、あぁ。悪い。」
体にかかって持ち上がっていた布団を外して文句を言った白い肌の持ち主にかけてやる。
肩から外れた布団から露わになった自分の上半身にギョッとした。
どうして……というより!!
下も確認して溜息を漏らす。
何をやらかしたっていうんだ。
答えは分かりそうなものなのに、考えることを拒否するように頭痛がひどくなる。
「寒いです。まだ寝てましょう?」
腕を伸ばされて、その腕の中に甘んじて元の場所へ体を横たわらせた。
そうだ。夢だ。これは夢なんだ。
二日酔いの頭を抱えて、もう一度目を閉じた。
腕の中の柔らかな温もりがどこか居心地が悪くてとてもじゃないけど眠れそうにないのに、よほど現実逃避したかったようでいつの間にか眠っていた。