上司との同居は婚約破棄から
「頼むからその中学生みたいな反応やめてくれない?」
空いている方の手の甲で顔を隠す高宮課長だって、つられたのか顔が赤い。
「だって、高宮課長の手が、そのドキドキするんです。」
「馬鹿だろ、、お前。」
「お前じゃなくて藤花です。藤花。」
「はいはい。」
呆れたような声を出す高宮課長がいつもより近くに感じた。
手を繋いでいるせいなのか、気持ちをぶつけたせいなのか……。
だから私は願望を口にした。
「そばにいて、笑ってください。」
「………笑いたくなったらな。」
『笑えない』とは言わない高宮課長に胸がトクンと高鳴った。
「隙を見てくすぐります。」
「俺、そういうの平気。」
「嘘!ショックです。」
柔らかな表情を向けられてドキリとする。
ずるいよ。
これが恋じゃないならなんなの?
こんな責任の取り方、どんどん好きになっちゃうだけなのに。