上司との同居は婚約破棄から
「……あの、、キスを。」
自分から催促するなんて恥ずかしくて顔を俯かせる。
「ダメだよ。藤花。
男にそういうこと言ったら。」
窘めるように言われて抗議しようと顔を上げると、それは叶わなかった。
一瞬だけ真っ直ぐな眼差しと目があってすぐに唇が触れ合った。
それから次第に貪るように重ねられ呼吸もままならない。
やっと離された頃には息を乱れさせて高宮課長の胸の中に力なく顔をうずめた。
「帰りたく、ありません。」
溜息を吐かれてゴチンと頭突きされた。
「馬鹿。そういうの。
女の子なんだから発言、気を付けろよ。」
「いいんです。
高……いえ。あの、俊哉さんとなら。」
「阿呆。」
きつく抱き締められて、それから手を引かれて歩き出した。