上司との同居は婚約破棄から
14.嘘
「いいからおいで。」
優しく諭されて私はおずおずと近づいて座った。
その体に腕を回されて抱き寄せられた。
そしてそっと唇が触れた。
恥ずかしくて俯くと「可愛い」と言って、もう一度キスをされる。
可愛いなんて、可愛いなんて。
なんだかすごくくすぐったい。
「あの、電気を、その消しませんか?」
「フッ。やる気満々?」
「なっ。違っ。だって。」
「ウソウソ。俺は、その気だけど?」
ククッと笑った高宮課長がもう一度キスをした。
「……もっと幸せそうな笑い方して欲しいです。」
「笑いたくなったらって言ったろ?」
ついばむようにキスをされて、それから抱きかかえられた。
突然のことに「キャッ」と悲鳴が漏れる。
布団の上へ降ろされると部屋の明かりは消された。
月明かりだけが二人を照らす。
「綺麗だな。」
頬をそっと撫でられて、それから何度も唇を重ね合った。
まるで昨日の出来事を思い出して手繰り寄せるように。
触れる手が熱くて高宮課長にしがみつく。
体をよじらせて布団に沈ませた。