微笑みの下の隠しきれない想い~アナタは渡さない~
「また私のお父様が何か?」
「いや今回はアスティが来ていた。」
お姉さま、、、
彼の口からお姉さまの名前が出る度に
心をむしばむ感じがする
一時社交界で2人にスキャンダルの噂があった
2人とも否定はしていたけれども
ずっと好きな私からすると気が気じゃない
「お父様に何かあったのですか?」
「いや。交渉があったらしくて代理に
アスティを寄越したんだ。いつも豪快だなあいつは」
「お姉さまですか?いつもではありませんよ?」
「いや、俺はあいつを女性だと思ったことはない。
いつも口論になると負けるのは俺の方だからな。」
自分の知らない彼の顔も、私たちには見せない姉の
顔も自分と王子の間にどれ程の距離があるかを
思い知らせてくる
「そんなことないですよ?
お姉さまはとても刺繍が得意なんです。」
「あぁ、そんな感じがするな。
細かいことをしたり考えたりするのが得意そうだ。」
姉と仲がいいことは知っていたけれど、
実際に目の当たりにすると息が苦しくなる
「とりあえずこれを召し上がって
ゆっくり休んでいて下さい。
食器は後で回収してもらうので。」
こんな話ばっかりしていると
辛い気持ちになる、、、
ただ諦めてしまえば楽だというのに