微笑みの下の隠しきれない想い~アナタは渡さない~
「こんなに分かりやすく言ったのに
伝わってないのか?君には。
もう一度分かりやすく言おうか。
俺のために作ってくれるのならいくらでも食べる。
これならさすがに城1の鈍感でも分かるだろう。」


今まで鈍いなんて言われたこともなかったのに


大事なことを見逃してそうでざわざわする


「つまり甘いものが嫌いなのではなく、
自分の好みのものが食べたかったってことですね?」


甘いものが嫌いなのではないのか


まるで私が作るものを受け入れてくれていないようで


悲しかったので、本当に嬉しい


確かにヴァンともロシュとも好きなものが違う。


ヴァンはチョコレートケーキが好きで、


ロシュはふわふわしたシフォンケーキが好きだから。


確かにフルーツの方が好きなガイとは好みが違う


本当に良かった


勝手に変な期待をするところだった


都合のいい勘違いなんて恥ずかしい


「嫌いじゃないが、苦手は苦手だ。
でも君が俺のために作ってくれるのなら
どんなものでも食べてみたい。」


何の気なしに言ったとしてもとても嬉しい


こういうことをさらっと言えるガイはやっぱり


生まれつきの王子様なんだろう


「王子は何が好きですか??」


「何か作ってくれるのか?」


こんなに嬉しいことを言われたのなら


勘違いだとしても作りたくなってしまう


「ええ。明日にでも。食べてもらえますか?」


「ああ!
そうだな、、、シェリーが得意なのはなんだ?」


小さな子どもみたいな笑顔、久しぶりに見た気がする


「私ですか、、、?そうですね、、、
母が1番最初に教えてくれたのでチーズケーキです。
しっかり焼いたチーズケーキが1番得意ですね。」


そう。これは私とお母さまの1番好きなケーキ


「それ、食べてみたい。作ってくれるか?」


「はい!!明日、空いている時間はありますか?」


午前中に作るから、、、


「焼きたてが食べたい」


「2時半でどうでしょうか。」


「何時でも大丈夫だ。じゃあ2時半にこの部屋で。
楽しみに待ってるな。」


ケーキを食べてもらえる日がくるなんて!!


絶対に失敗できない!


「では、頑張って作りますので。
残りの公務も頑張ってください。
そろそろ時間なので失礼します。」


今日は来て良かった


「ああ。ありがとう。」







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