キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
ゆっくりと一つ息を深く逃し。ようやく気持ちを鎮めると、あたしは頬の涙を掌で拭った。

「・・・・・・ごめんなさい。いきなり泣いちゃって・・・」

みっともないなぁって恥ずかしさの入り雑じった弱弱しい笑みを浮かべ、もう一度、肩で小さく詰めてた息を逃す。

「でも、少しは吐き出せて楽になった?」

睦月さんがあたしを優しく労り、桜餅色のタオルハンカチとティッシュを差し出してくれる。

ずっと、ゼリーの塊で出来てたみたいな密度の濃さが一転して、中身が空の箱になったような。
『楽』とは違うんだろうけど。ほんの少し。風通しが良くなったかも知れない。・・・そんな感じ。
元に戻すにはどうしたらいいかは。今のあたしにはまだ分からない。

「ちょっとだけですけど・・・」

気遣いを受け取りながら、ひどい鼻声で曖昧に笑むと。彼女はそれでも安堵したように微笑みを零した。
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