キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
「彼にその返事は、もう伝えたの・・・?」
華奢な腕であたしの肩を抱き、優しく包んでくれた睦月さんが柔らかな声音で訊ねた。
答えを躊躇い。一呼吸おいて小さく頷く。
「でも本当の気持ちを言えなくて、利津子ちゃんは苦しいのね」
貸してもらったハンカチで目頭を押さえながら、また泣きそうになった。
彼女は答えを与えようとしてる訳じゃない。
ただ。あたしのココロに寄り添おうとしてくれてる。
それでも。掌にそっと掬ってもらえたみたいな温かみが、切なく胸に染みる。
もし、と睦月さんは穏やかに続けた。
「自分が出した答えに迷いがあるなら、彼に少しだけ待ってもらったほうが、きっと後悔しないと思うの。・・・引き返したり、答えを変えることは出来なかったとしても、今は利津子ちゃんに見えてない別の通り道がどこかにあるかも知れない。例えば・・・千倉社長は、利津子ちゃんを助けてはくれない?」
彼女の口から淳人さんの名前が零れて、思わず顔を上げた。
言いかけた言葉を呑むと、弱弱しく頭(かぶり)を横に振った。
「・・・・・・・・・淳人さんは、ミチルさんがあたしの気持ちを利用して縛り付けてるって思ってるみたいで・・・。今度は淳人さんが、あたしをミチルさんから引き離そうとするかも知れない・・・」
そんなことになったら。
血が流れる。
的中して欲しくない予感があった。
「・・・・・・淳人さんを巻き込むつもりはないんです。ありがとうございます、心配してくれて」
ぎこちなくなったけど最後は笑んで。あたしは鼻をすすりながら、睦月さんにそう言った。
華奢な腕であたしの肩を抱き、優しく包んでくれた睦月さんが柔らかな声音で訊ねた。
答えを躊躇い。一呼吸おいて小さく頷く。
「でも本当の気持ちを言えなくて、利津子ちゃんは苦しいのね」
貸してもらったハンカチで目頭を押さえながら、また泣きそうになった。
彼女は答えを与えようとしてる訳じゃない。
ただ。あたしのココロに寄り添おうとしてくれてる。
それでも。掌にそっと掬ってもらえたみたいな温かみが、切なく胸に染みる。
もし、と睦月さんは穏やかに続けた。
「自分が出した答えに迷いがあるなら、彼に少しだけ待ってもらったほうが、きっと後悔しないと思うの。・・・引き返したり、答えを変えることは出来なかったとしても、今は利津子ちゃんに見えてない別の通り道がどこかにあるかも知れない。例えば・・・千倉社長は、利津子ちゃんを助けてはくれない?」
彼女の口から淳人さんの名前が零れて、思わず顔を上げた。
言いかけた言葉を呑むと、弱弱しく頭(かぶり)を横に振った。
「・・・・・・・・・淳人さんは、ミチルさんがあたしの気持ちを利用して縛り付けてるって思ってるみたいで・・・。今度は淳人さんが、あたしをミチルさんから引き離そうとするかも知れない・・・」
そんなことになったら。
血が流れる。
的中して欲しくない予感があった。
「・・・・・・淳人さんを巻き込むつもりはないんです。ありがとうございます、心配してくれて」
ぎこちなくなったけど最後は笑んで。あたしは鼻をすすりながら、睦月さんにそう言った。