キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
迷いがあるなら後悔しないように。
彼女の言葉は鈴の音のように、ささやかに響いた。

引き返せなくても。道は一つだけって決まったわけじゃないなら。
探してみようか。

胸の内でおずおずと手を伸ばす。指先に触れるのは、光りかもしれない。
闇かもしれない。

でも。・・・だけど。




「利津子さんをここに泊めるぐらいはね、いつでも歓迎するよ。遠慮なく甘えてもらう方が、僕も睦月も嬉しいかな」

保科さんまで優しく言い聞かせてくれたこと。本当に、心からの感謝しかなかった。

鳥籠の外は広すぎて。ミチルさんの他に宿り木はないだろうって思ってた。
外のセカイは広いからこそ。安らかな宿り木に出会えることもあるんだって。

ほんのちょっとだけ、神サマにありがとうって。・・・言いたくなった。

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