キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
それから睦月さんにお風呂をススメられ、涙の跡ごとキレイさっぱりお湯に流し去って。
寝間着代わりのスェットから、下着から、化粧品、歯ブラシ。何から何まで揃えてもらい、真っ新なシーツのダブルベッドに睦月さんと並んで横になった。

保科さんの寝る場所があるのかと慌てたあたしに。

「すぐ近くに、元々住んでた私のアパートがあるの。大きい荷物はほとんど残してあって、別荘みたいな使い方になってるんだけど。せっかくの女子会だから二人きりにしてくれるって、愁一さんはそっちに行ったわ」

利津子ちゃんは気にしないでね。睦月さんは事も無げに悪戯っぽい横顔で笑ってた。

ココロの中で保科さんに平謝りつつ、前に羽鳥さんがアパートに泊まるとかナントカ言ってたのを思い出し、ふと訊ねてみた。

「羽鳥さんも、よく泊まってったりします・・・?」

「そうねー、一緒に呑む時はたいがい。愁一さんは強いから、いつも大介さんが潰されて終わりよ?」

困り顔で言いながらも、どことなく微笑ましそうに。

「保科さんとは長いんですか?」

「ううん。まだ一年とちょっとくらいかな」

「そうなんですか?!」


保科さんとの出会いを、恥ずかしそうに聴かせてもらったり。
あたしも少しだけ、初恋の話をしたりした。



部屋を暗くして、おやすみなさいを言い合う。

常夜灯で仄かに薄明るい天井をぼんやり見つめた。

ミチルさん、どうしてるかな。

離れちゃうと。素直に寂しくて、傍にいて欲しくなる。
優しく笑って呼んで欲しくなる。

『りっちゃん』


熱の籠もった吐息で、耳許に囁かれる低い声が。耳の奥で重なった。



もう戻れないなら。
せめて。
ミチルさんの後悔になりたくない。

切なく想いを噛みしめ。
きゅっと目を瞑った。



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