キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
母親も早くに亡くなって“兄”だけだったし、“姉”って存在には憧れがあるかも知れない。
話を聴いてもらえたり、心配してもらったりする心地良さは、ミチルさんとはちょっと違う。女性らしい気遣いや温かさをくれる睦月さんを、素直に好きだと思う。こんなお姉さんがずっといてくれたら、って。
だから、ミチルさんが彼女を褒めたのを自分のことみたいに、くすぐったい気持ちになった。
「保科さんも素敵な人だし、睦月さんと知り合えてよかった!」
「・・・そう」
前に視線を向けたままで、ミチルさんが呟く。
「りっちゃんが淳人の会社を選んだのも、運命だったってことかな」
「え・・・?」
そこで淳人さんの名前が彼の口から出て来るなんて、思ってもみないで。
継ぐ言葉を失い、ミチルさんの横顔を凝視した。何も浮かんでない静かな表情。
バレンタインのあの夜から、二人ともその名を暗黙の内に置き去りにしてきた。そうするしか。無いって思ってた。
唐突に解かれた封印を、どう捉えていいのか。
ミチルさんの思惑を測りかね、戸惑いと不安で顔が歪んだ。
「・・・・・・ミチルさん?」
心許なげに、唇から漏れた声。
車の加速が徐々に増してる。気がする。
話を聴いてもらえたり、心配してもらったりする心地良さは、ミチルさんとはちょっと違う。女性らしい気遣いや温かさをくれる睦月さんを、素直に好きだと思う。こんなお姉さんがずっといてくれたら、って。
だから、ミチルさんが彼女を褒めたのを自分のことみたいに、くすぐったい気持ちになった。
「保科さんも素敵な人だし、睦月さんと知り合えてよかった!」
「・・・そう」
前に視線を向けたままで、ミチルさんが呟く。
「りっちゃんが淳人の会社を選んだのも、運命だったってことかな」
「え・・・?」
そこで淳人さんの名前が彼の口から出て来るなんて、思ってもみないで。
継ぐ言葉を失い、ミチルさんの横顔を凝視した。何も浮かんでない静かな表情。
バレンタインのあの夜から、二人ともその名を暗黙の内に置き去りにしてきた。そうするしか。無いって思ってた。
唐突に解かれた封印を、どう捉えていいのか。
ミチルさんの思惑を測りかね、戸惑いと不安で顔が歪んだ。
「・・・・・・ミチルさん?」
心許なげに、唇から漏れた声。
車の加速が徐々に増してる。気がする。