キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
真っ暗い夜の空から、止めどなく落ちてくる雪を。

あたしの手をただ握りしめて見上げたお兄ちゃんは。

一体どんな気持ちだっただろう。

迎えに来たお母さんが。本当は、自分達を捨てようとしてたのを。

雪が降るたび思い出して。

今はもういないお母さんの代わりに、雪だけが嫌いになって。

桜を見るたび、古傷を思い出して。

どこまでも消せない。



なんにも知らないあたしだけが、無邪気にはしゃいでたんだね。



ミチルさんは。

降る雪をさえぎる、その場しのぎの傘になんかじゃ、なく。

積もってく冷たい傷みをぜんぶ消せるくらい。

お兄ちゃんに、自分を捧げて生きたかったんだね。

お兄ちゃんがシアワセなら。

親友のまま。

傍で。ずっと見守って。笑い合って。

それがたった一つの。ミチルさんの願いだったんだね・・・・・・。




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