キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
「話して。・・・ミチルさん」

真っ直ぐ見つめ返して言い切ったあたしに、ミチルさんが目を見張った。動揺と驚愕の色が大きく揺れてるのを、構わずに重ねる。

「ミチルさんが嫌がっても、あたしはどこまでも付いてくし、その約束の代わりが結婚なんだもん。お兄ちゃんは妹バカだから、あたしの気持ちは一番良くわかってる。ミチルさんの気持ちも絶対わかってる。だから、教えてミチルさん。お兄ちゃんが死んだことと、ミチルさんと淳人さんにどんな関係があるのか。何を知っても、あたしは変わらないから」

一息に吐き出し、尚も彼を見つめ続ける。

躊躇い、苦悶、哀切。ミチルさんの眼差しが見たこともないほど歪んだ。
それでもあたしは逸らさなかった。

やがて。伏せるように視線を俯かせたのは彼だった。

「・・・りっちゃん・・・・・・」

力無く呟き。肩で大きく息を逃すと、ミチルさんは弱弱しい微笑を浮かべる。

「あんまり僕を置いてかないで欲しいよ・・・」

繋いでた手ごと引き寄せられて、きつく、きつく抱き竦められる。

僕の負けだよ。
頭の天辺に埋もれた吐息と一緒に、囁かれた。


張り詰めてた糸がやっと解けたような。・・・穏やかな声だった。
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