キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
胸元にあたしを離さないままのミチルさんが、淳人さんに向けた口調はやっぱり冷ややかだった。

「お前とは一生、合う気がしないよ」

「同感だな」

「さっき言ったのも本気だ。千倉の跡取りなら、慎重に動いた方がいい」

「・・・俺を脅すなんざ、いい度胸だ」

鼻で笑うと、淳人さんは面白そうに口角を上げる。

「菅谷こそ俺を見くびるなよ。せいぜい、足許を掬われんようにな」

「淳人に掬われるようじゃ、僕もお終いだね」

妖しい微笑みを滲ませた、ミチルさんの横顔。
ふと。淳人さんの気配が変わった。

「菅谷、俺はリツが大事なだけだ」

あたしを正面から見つめてる彼の眸は。凛として、澱みなかった。

「良かったよ。・・・そこだけは合うみたいで」

瞬間。二人の間の見えない火花が、同じ色で弾けた。気がした。


なんとなく。
二人は大丈夫って。

ちょっとだけ思えた。


『だろ?』


お兄ちゃんの自慢げな顔が浮かんで。
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