キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
会社から帰って、夕ご飯の支度に取りかかる。
6月ももう終わりの、梅雨で蒸し暑い毎日。今夜はゴマポン酢の豚しゃぶとアボガドのサラダに決定。ビタミンBは疲労回復に効くし。

ミチルさんからラインが来てて、帰りはいつもよりちょっと遅くなるらしい。
鼻歌雑じりで、お肉の下敷きにする水菜を洗い、お湯を煮立たせてる小鍋を覗く。
苗字が菅谷に変わっても、なんだかやってることって全然変わってない。
内心でクスリ。


グランドエステートを辞めろとも、ミチルさんは言わなかった。
仕事の話は普通にするけど、淳人さんのコトはひと言も口には昇らない。
あの二人の関係に、あたしは口出しできないから。それがちょっと寂しい。

お味噌汁に入れる里芋の皮を剥きながら、そっと溜め息を吐いた。
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