キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
ミチルさんが帰って来たのは、九時を回った頃。
玄関で出迎えたあたしに、ふんわり微笑んで額にキスを落とす。

「ごめんね、遅くなって」

「お帰りなさい、お疲れさま! シャワーゆっくりでいいよ? その間に用意しとくし」

「ん。ありがとう、りっちゃん」

夏場は、帰ったら汗を流してゴハン、が鉄則。
お風呂上がりのミチルさんは半乾きの髪とか、なかなかにセクシーで目の保養になります。
お兄ちゃんは、アレだよ。パンツ一丁で、首からタオルぶら下げながら缶ビール呷ってさ。ほんと昭和のオヤジだったよ?



黒縁のメガネ、半袖Tシャツにハーフパンツってラフな格好で、食後の洗い物をしてるすらりとした後ろ姿を、リビングのソファから遠慮なく堪能。
どんだけ眺めてても飽きないし、どんだけ青天井なんだろうって思う。
シアワセな、ミチルさんへの片恋は。

< 187 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop