キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
振り向いて、彼の横顔を見つめ。小さく笑む。

「お兄ちゃん、早めに顔出さないと、遅いって怒りそうだもんねぇ」

「せっかちだからね、あいつ」

クスリと口の端を緩めて、ミチルさんは少し遠くを見るように目を細めた。

「そしたら、2日は? 三元日ならお兄ちゃんも文句ないと思うし」

「ん。じゃあ・・・そうしようか」

儚そうに笑い、晴れるといいね、とこっちは見ないで付け足す。

命日と、お盆とお彼岸、お正月。お兄ちゃんのとこに行く時、雨に降られた記憶があんまりない。

「大丈夫、ミチルさん。お兄ちゃん、すっごい晴れ男だから」

あたしが自信満々でそう言ったら、手が伸びてきてぽんぽんと頭を撫でられた。

「残念。あいつは雨男。晴れ男はね、僕」

あれ? そーなの?! 思わず瞬き。
ミチルさんはそんなあたしを横目で見て、今度は可笑しそうに。


あのね、ミチルさん。きっとお兄ちゃんも、そんな風に笑うミチルさんに会いたいと思うよ。
泣くのを諦めたみたいに、儚そうに笑うのなんて。お兄ちゃんも悲しくなるに決まってるから。



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