キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
今夜は年末恒例のテレビ番組でも観ながら、二人でゆっくり晩酌しようって。
ちょっと早い時間から、おつまみを作り始める。
チーズを餃子の皮に巻いて軽く揚げたのやら、手羽先の簡単ローストやら、手間もかからないで美味しそうなのを、ミチルさんがさくさく完成させてく。
その横でキュウリ切って和えるだけとか、猫の手にもなってないよーなあたし。
あ、でも。いつもミチルさんが好きだって言ってくれる、レンコンのきんぴらは作ったし!
『今年も一年、お疲れさまー』
缶ビールをカシャンと合わせ、笑顔で軽く乾杯。
いつもは二人掛けのダイニングテーブルでご飯なんだけど、こういう時は特別。
ソファの座枠を背もたれにホットカーペットの上に直に座って、リビングテーブルに広げたお料理をつまみながら、のんびり食べたり飲んだりする。年越しそばは、食べたくなるまで出番待ちだ。
32型の薄型テレビは、お決まりの歌番組にチャンネルを合わせてあった。
どうしてもって訳じゃないんだけど、『大晦日って言ったら、紅白だろ!』って、変なとこが昭和のオヤジみたいなお兄ちゃんを思い出して、何となく。
「お兄ちゃんて、なんであんなに紅白が好きだったんだろーね」
そぼろ入りオムレツに手を伸ばして、あたしが不思議がると。
「日曜日のサザエさんみたいなものかな。家族の団らんの代表、って感じするでしょ」
ミチルさんはそう言って、優しく笑った。
年越しには同じテレビを観て、同じ時間を一緒に過ごす。一緒に新しい一年を迎える。二人きりの家族だったからこそ、そういう絆を大切にしたかったのかな、お兄ちゃんは。
隣りにいるミチルさんをそっと見上げた。
お兄ちゃんはもういないけど。あたし達はいつも三人。
紅白を観る“お約束”は、『これからも、ずっと』の“約束”。
来年も再来年も、その次も、次も。
紅白を一緒に観よう、みんなで。
ちょっと早い時間から、おつまみを作り始める。
チーズを餃子の皮に巻いて軽く揚げたのやら、手羽先の簡単ローストやら、手間もかからないで美味しそうなのを、ミチルさんがさくさく完成させてく。
その横でキュウリ切って和えるだけとか、猫の手にもなってないよーなあたし。
あ、でも。いつもミチルさんが好きだって言ってくれる、レンコンのきんぴらは作ったし!
『今年も一年、お疲れさまー』
缶ビールをカシャンと合わせ、笑顔で軽く乾杯。
いつもは二人掛けのダイニングテーブルでご飯なんだけど、こういう時は特別。
ソファの座枠を背もたれにホットカーペットの上に直に座って、リビングテーブルに広げたお料理をつまみながら、のんびり食べたり飲んだりする。年越しそばは、食べたくなるまで出番待ちだ。
32型の薄型テレビは、お決まりの歌番組にチャンネルを合わせてあった。
どうしてもって訳じゃないんだけど、『大晦日って言ったら、紅白だろ!』って、変なとこが昭和のオヤジみたいなお兄ちゃんを思い出して、何となく。
「お兄ちゃんて、なんであんなに紅白が好きだったんだろーね」
そぼろ入りオムレツに手を伸ばして、あたしが不思議がると。
「日曜日のサザエさんみたいなものかな。家族の団らんの代表、って感じするでしょ」
ミチルさんはそう言って、優しく笑った。
年越しには同じテレビを観て、同じ時間を一緒に過ごす。一緒に新しい一年を迎える。二人きりの家族だったからこそ、そういう絆を大切にしたかったのかな、お兄ちゃんは。
隣りにいるミチルさんをそっと見上げた。
お兄ちゃんはもういないけど。あたし達はいつも三人。
紅白を観る“お約束”は、『これからも、ずっと』の“約束”。
来年も再来年も、その次も、次も。
紅白を一緒に観よう、みんなで。