キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
10時を回った頃にエビ天とちくわ天入りのかけ蕎麦を食べて、これで年越しの準備も万端。
紅白が終わると、年越しを生中継する番組に変わり、厳かな除夜の鐘の音はテレビの中から響き渡ってる。

あたしとミチルさんは、自然と体を寄せ合って、黙って静かにその瞬間を待つ。
詣で客で賑わうどこかの大きな境内が画面には映し出されてて、この寒い中、感心するなぁって思ってるうちにカウントダウン。
ミチルさんが肩に手を回して、あたしを優しく引き寄せた。
・・・3、2、1。

「明けましておめでとう、りっちゃん。今年も一年、宜しくね」

「明けましておめでとう、ミチルさん。こっちこそ、ふつつか者ですがヨロシクお願いします」

笑顔で顔を見合わせ、あたしはそのままミチルさんに、もたれかかってる。
肩に回されてた手はいつの間にか、頭をやんわりと撫でてくれていて。
大きな掌の温もりが優しくて、心地よくて。お酒も手伝ってか、次第に重たくなる瞼。

「・・・りっちゃん」

ミチルさんの柔らかい声が聴こえた気がする。
落ちていきそうな意識を、頑張って引き戻そうとしたんだけど。 
気が付いたら、すとん、て。記憶が途切れてた・・・・・・。

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