キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
欧米風の外観をしてるアパートに到着して、入居者専用の屋根付き駐輪場に自転車を繋ぎ、急ぎ足で玄関に向かう。

築浅だったこのアパートは、メゾネットタイプの2LDK。一階にリビングと水回り、二階に洋室が二つとバルコニーっていう、新婚さん向きな間取りだ。四世帯で、各玄関前には一台分の駐車スペースも付いてるし、グレードも賃料もそここそお高めの物件で。もちろんあたし一人じゃ、とても払いきれない。

白のCーHRがうちの玄関前に停まっていたのは、向こうの通りからもう、目に入って来てた。
ミチルさん、木曜まで出張って言ってなかったっけ?!
慌て気味に鍵を回し、もどかしく玄関ドアを開けて飛び込むと、奥のリビングが明るくて。思わず、「ただいまぁっ」と子供みたいに声をわざと上げた。

「お帰り、りっちゃん」

柔らかい声が聴こえて、長身のシルエットが半身、向こうからひょっこり覗く。
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