キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
お風呂も済ませ、パジャマにもこもこのパーカーを羽織った恰好でリビングに入ってくと。ふわりと珈琲が香って、ワイシャツとスラックス姿のミチルさんがキッチンから背中を向けたままで言う。

「座ってて、りっちゃん。持っていくから」

「あ、うん」

ローテーブルの上には、開いたままのノートパソコン。何かのデータ資料のようだった。
彼の場所を空けた隣りにちょこんと掛け、ぼんやり画面を見つめて待つ。

「少し薄目に淹れたからね」

「ありがと」

マグカップを前に置いてくれたミチルさんは、いつも通りの優しい微笑みを浮かべ隣りに座った。
あたしの知ってるミチルさんだ。何かを解くように、ほっとした自分がいた。
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