キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
躰の中で膨れ上がってくナニかが。あたしを圧し潰してく。
いっそ。裂けて破れちゃえば楽なのに。

引き結んだ唇から漏らしたら、終わりだって。
眸から溢れさせた涙|《もの》を零し続けるしかなかった。


「・・・・・・馬鹿が」

ひくく呻いた淳人さんが言ったのと、上向きに固く結んでた唇に吐息が重ねられたのは同時だった。

一瞬、躰を竦ませたあたしの、頭の後ろに回った手にぐっと押し上げられ、いきなり何かで口をこじ開けられた。
アッと思った時には、弾力のあるしなやかなイキモノが、あたしの口の中でゆっくり動き回ってる。
逃げようとする舌を執拗に追いかけられ、なぞられ絡め取られる。
歯列を辿り、唇の裏側を這い。まるで。味わって食べ尽くそうとするみたいに。

「・・・っっ、・・・ん、んッッ・・・っ」

塞がれた口から洩れる、くぐもった吐息。すると更に深くまで浸食される。
その繰り返し。

初めての感覚。感触。次第に何がなんだか分からなくなる。
一度離れても、角度を変えて何度も。何度も。

力が抜けそうになって崩れかかるあたしの手首を空いてる片手で掴み、淳人さんは絶対に逃そうとはしてくれなかった。


繋げられた生まれて初めてのキスを。受け止めてるだけなのか、応えてるのか。
自分でも。分からなかった・・・・・・。

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