ビロードの背中
「なんで優しくされたくないの?」


「分からない。

・・・本当に分からないの。

だから聞こうとすると、はぐらかすように遮断される――。」



「・・・だけど、自分の感情を素直にあなたにぶつけてる。」



ただ、普通の人と表現方法が違うだけ。

彼女はなぜかの理由を話したいのではなく、言い訳を聞いて欲しいのでもない。

彼によって、彼女は解放されたいのだ・・・。


――なら、ベッドから離れた二人はどうしているのか。

なぜ、彼女は彼に優しくされたくないのか・・。




「でも姉さん。人は話してコミュニケーションとるでしょ。

だから人なんじゃない。

・・姉さんが話してくれると、俺、ホッとするよ。」


自分の事を自分から話さない彼と、彼の事を聞きたがらない彼女。

自分の事を語りたがらない彼女と、話の聞き上手な彼。

ちぐはぐのような、かみ合っているような・・・。


< 104 / 201 >

この作品をシェア

pagetop