ビロードの背中
彼はタバコを持ったままで両手で私の顔を挟み、キスしてきた。

タバコの匂いに一瞬むせる。

そして耳元でささやいた。


「シャワー、・・・一緒に浴びようよ。」


私は彼からとっさに離れた。

彼が寂しそうにフッと笑う。


「・・・お話はもういい?先にシャワーに行っといで。」



バスルームのドアを開けようとした時、

「はい、これ。

新しいバスタオルと、洗濯済みのシャツ。」

私は受け取ると、ドアを閉めた――。




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