ビロードの背中
気がつくと目の前に下着が置いてあった。

たたまれていなかったのが不幸中の幸いだった。


ベッドから出て急いで着けた。

彼のシャツまで着て、再びベッドに入った。



・・・外が少し白んでいる。


彼がうつぶせに、こちらを向いて寝息を立てていた。

シングルベッドなので顔が近い。


“まつげが長い。”

これは、旅行の時には気づかなかった。


指でそっとまつげに触れてみた。

ピクッとまぶたが動く。

――可愛い。

可愛くて いとおしくて、もう意地悪したくてたまらなくなった――。



< 146 / 201 >

この作品をシェア

pagetop