ビロードの背中
もう一度まつげに触れるとピクッと震えて、

まぶしそうに目を開けた。


「――おはよう。」


「・・・おはよう。

――今、何時?」


「5:30。

・・私、帰るね。」


「――待って。

コーヒー飲もうよ。今すぐ入れるから――。」


彼はTシャツに、スウェットのズボンをはいていた。

彼がコーヒーの用意をしている間に、私も私服に着替える。



彼の背中を見て、赤ちゃんの肌の質感を思い出した。

“ビロードの背中・・・。“

私は彼の背後から抱きついた。

「――痛いっ。」

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