ビロードの背中
――待っていると、ネイビーカラーの外国車が目の前に止まった。

助手席に座る。

“男の人の車に乗るなんて、何年振りだろう。”


運転しながら彼が話す。

「大企業の女係長なんて、どんな人だろうと思っていたけど、

ゴルフに負けたの、よっぽど悔しかったんだね。

素直に顔に出るところ、可愛いね。」


「可愛いなんて年じゃないですよ。

・・バカにしないで下さい。」


「”可愛い”に年なんかあんのかよ。

――何歳?」


「・・・35歳。」


「それってマジ年齢でしょ。

本当に素直なんだね。


――僕は36歳、ひとつ年上。」






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